空言空館
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非公開
自己紹介:
自称、「言の葉」使いの物書き。
遼 莉杏と書いてハルカ リアンです。
最近のマイブームは
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第一幕 再会
2008/06/03 [Tue]
「お疲れ様」
「どうも」
彼に連れられ、馬車に乗り込んだ。
そこで、微笑みながらそんな一言。嫌味にしか聞こえない。
「それで、何のようだ」
「ん~、ちょっと頼みがあって。今回ばかりは僕だけの力じゃ叶わない」
「珍しいな、お前が弱気なのは」
「自分の限界は知ってるつもりだけど?」
城へ向かう馬車の中、早速本題を出してみたが、話し出す気配はない。
「シュタルク王子、どうされますか?」
「あ~、そうだね。念のため裏からお願い」
突然前方から声がし、彼がそれに答える。
「かしこまりました」
御者が了解の意を示し、馬車が少しばかり速度を落として、進行方向を変える。
窓から外を見れば、既に馬車は目的地間近だった。小さな窓では全景をとれない城がある。
この国の最高権力者が住まう城だ。
すなわち、目の前の彼は正真正銘、本物の王子だというわけだ。
「何故、裏からなんだ」
「キミと一緒だから」
「つまり、正式な客としては認められてないんだな」
「いや、一応父上に話してある。今度、護衛をつけるって」
「じゃあどうして?」
「敵が多いでしょ?お互いに」
彼の言葉を聞き、思わず眉間にシワが寄る。
「もしかして、内輪もめじゃないだろうな?」
「それもある。けど、それだけじゃない」
彼は現国王の第6子にあたる。数字だけみれば、世継ぎ問題に関係なく見えるが、そうでもない。
上3人の兄は全員、国王と妾腹の間に生まれている子どもなのだ。
しかし、彼らに王位継承権がないわけじゃない。国王の子どもならばダレにでも継承権が存在するが、やはり一番有利なのは、国王と王妃の間に生まれた子だ。間二人は姉なので関係がない。
そんな中で「彼さえいなければ、自分が国王の座につける」という考えは、当然に浮かぶものだろう。
裏庭で馬車を降り、そのまま、使用人が使う道を通り彼の部屋へ向かった。
「シュタ、何に首を突っ込んだんだ?」
扉を背に彼に問いかける。
「そう焦らないでよ。まずは、その血生臭さをなんとかするのが先」
彼の部屋に着くなり、指差されたのは部屋備え付きのバスルームだった。
人が真剣に話を持ちかけても冗談で誤魔化されてしまう。それは、数年前クラスメートだったころから変わらない。
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